能町みね子著「結婚の奴」を読んで考えた結婚についてのこと

おすすめの本

「結婚」という言葉を聞いて、あなたは何を思い浮かべますか?

恐らく大多数の人が、こう思うでしょう。

好きな人と恋愛をして、お付き合いからのプロポーズ。両親への挨拶を経て入籍、同居をし、いずれは子どもを作って家族を増やしていく。

多少の順序の違いはあれど、多くの人がそれを「結婚」だと思っている。

今もし、あなたがそれに多少なりとも違和感や居心地の悪さを抱いているのなら、

今回紹介する能町みね子さんの「結婚の奴」を読んでもらいたいです。

なぜなら、この本は「結婚」には色んなカタチがあって良いということを実感させてくれるからです。

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恋愛結婚は常識?

この本には、主に能町みね子さんと、フケ専・デブ専のゲイのライター、サムソン高橋さん(通称:夫(仮))が「恋愛感情のない事実婚」をして共同生活を始めるに至るまでの悲喜こもごもが描かれています。

まずポイントなのが、お互い「恋愛感情がない」ということ。

戦後、お見合いという制度が減少し、恋愛結婚が当たり前という風潮が世の中に蔓延しているのは誰もが認めるところでしょう。

そのせいなのかは明確ではありませんが、年々婚姻率が下がっているのは内閣府のデータでも明らかです。

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「婚姻率」とは、人口千人当たりの婚姻件数を指します。2016(平成28)年の婚姻件数は約62万組。婚姻率は5.0で、婚姻件数・婚姻率ともに過去最低を記録しています。

1970(昭和45)年~1974(昭和49)年頃の婚姻件数年間100万組以上、婚姻率10.0以上と比べると明らかな減少傾向。

「恋愛結婚」という「常識」とは裏腹に結婚する・できる人は減っている。私にはなんだかこれがとても不思議に思えるのですよね。

「結婚」と「恋愛」をセットに考えること自体が、常識に縛られていることそのものなのではないかと。

常識の強さと新しい結婚のカタチ

それでもまだ、恋愛結婚を当たり前のものとして受け入れすぎてしまっている私は、それを根底から覆す2人の「結婚」は、何で繋がれているのか? ついそんなことを思ってしまうのです。

なぜなら能町さんはゲイであるサムソンさんが他の男性(もしくは女性)とデートしていようが、セックスしていようが、恋愛感情がないので嫉妬しないのです。それはどうやらサムソンさんも同じ様子。

従来の恋愛結婚とは明らかに解離した関係ですよね。

でも、2人のささやかな日常を読み進めていく内に、そもそも、何かしらの感情で明確に繋がれていなければいけない、そんな考えすらも見えない世間の「常識」に囚われていた結果なんじゃないないのか、と思えてきました。

能町さんは、学生時代に「結婚はしたくない」と言っていた友人たちが、次々と結婚していく様子を見てこう書いています。

人の言ってる恋愛観や結婚観なんて、まともに信じてはいけないのだ。それがちょっと「常識」から外れていたからといってぬか喜びしてはいけない。聞くだけ無駄なので酒の席での埋め草として消化し、全部忘れたほうがよい。どんどんみんな「常識」に吸い込まれていく。世間の「常識」の強さをなめたらいかん。

そう、みんな無意識に「常識」というものに吸収されていくのです。

私はそれにいつも違和感を感じていた。誰もが恋愛を伴う関係を築いて結婚することに一ミリも疑いを持たず、「結婚」していく。

30代後半〜40代で「結婚」していなければ「変わっている人」「何か欠けているに違いない」と言われ、独身は寂しいんだという刷り込みをさせられる。

それを普通のこととして、違和感なく受け入れる。

私は周りの人々がそれを違和感なく受け入れることに違和感を感じていました。他にもそう感じている人はいるはずなのに、あの子も、この子も、いつの間にか「結婚」して「普通」になっていく。

この本はその違和感を言語化してくれた作品なのです。

だからわからない人にはきっとわからない。「常識」に違和感なく吸い込まれていく人には、この本の内容は突飛でしかないでしょう。

だけどきっと、それで良いんです。

なぜなら、そんな「常識」なんて気にならないくらいの新しくて愛しい結婚のカタチがこの本には詰まっているからです。

2人の間には、家事を分担するだとか、夫側がお金を多く出すだとか、そういう一般的に考えられている「常識」もありません。

お互いがお互いの足りないところを補って生きていく。恋愛関係なしで。その関係のなんと素敵なことだろう。

もちろん、能町さんの「結婚プロジェクト」に100%共感できるわけじゃないけれど、私の違和感を言語化してくれただけでこの本に出会って良かったと心から思えました。

結婚は、誰かと一緒にいるからこそ得られる人生の豊かさ

この本の好きなところは、「結婚」を否定していないところでもあります。

帯にはこんな文章が。

人生を変えるような恋愛だの結婚だのは無理だが、ひとりは嫌だ。

そう、この本には従来の常識を覆しながらも結婚によって得られる日々の幸せもしっかり描いています。

サムソンさん改めアキラ(夫(仮))の家に能町さんが通い始めて近づく2人の距離、ついに同居することになりアキラの家の改装計画を共に考え、その最中で起きるちょっとした意見の違い、帰った時に「ただいま」と言える人がいることの発見……。

結婚って結局のところ、恋愛することではなく、誰かと生活を共にするからこそ得られる人生の豊かさのことなんだと思いました。

この本には能町さんがそこにたどり着くまでが描かれています。

エッセイストの雨宮まみさんとの交流を描いた数章は読んでいるのも辛くなるほどでしたが、なくてはならない章ですね。

まるで一冊の小説を読んでいるかのような素晴らしい構成と美しい装丁で、人生の節目に何度も読み返したい一冊になりました。

今もし、あなたが世間の「結婚」に多少なりとも違和感や居心地の悪さを抱いているのなら。

ぜひ「結婚の奴」を読んでもらいたいです。

▼Kindle版もあります。

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